目次
1.『リアリティショックとは』

学生から社会人になりたての時や、新しい職場で働き始めた時には、思っていたより大変な仕事や、思っていたより難しい人間関係に悩むことがあります。
こうした、入職前に抱いていたイメージとのギャップに不安感・喪失感・あきらめを感じることを『リアリティショック』と言います。
特に、社会人になってからの一年間は、入社前に抱いていたイメージとのギャップ、つまり「リアリティショック」に、陥りやすいと言われています。
2.『リアリティショック』は誰にでも起こり得ること

『リアリティショック』は、本人にとっては苦しく困難な状況です。
この職業は向いていなかったのではないか、と感じることさえもあり得ます。
しかしながら、そういったギャップに悩むことは、実はごく自然なことなのです。
今回は、いずれ来るかもしれない『リアリティショック』に備え、今からその正体を知り、自分をコントロールしておきましょう。
3.なぜ『リアリティショック』に陥ってしまうのか

では、そもそもなぜ私たちは『リアリティショック』の状態に陥ってしまうのでしょうか?
その原因を考えてみましょう。
3-1. 学生と社会人の違い
まず、学生と社会人の違いを考えてみましょう。
様々な人が暮らす広い社会の一構成員として見れば、学生時代は文字通り 「誰かから学びを得る期間」と言えます。
一方で社会人は、今までの学びを活用して、「誰かに価値を与える期間」と言うことができます。
これだけでも、役割が真逆であることが分かります。
3-2. 学校での立場と、働く場での立場
次に、組織の構成員として見ると、学校での学生の立場は、自由で責任のないものでした。
テストの成績が悪くても、その責任を取れと言われることはありませんでした。
しかし、会社や組織の中にいる社会人には、それ相応の責任があります。
特に病院で働く人は、患者さんの命を預かる立場であることから、他の業種に比べて責任が重いと感じるかも知れません。
自分の働きが評価され、それで給与が決まるところもあります。
このように、社会人は、学生とは全く異なる役割を担い、責任を背負っているため、しこにストレスを感じることは、ごく自然な反応と言えるのです。
4.新入職員の『リアリティショック』

では、実際の現場では、どのようなリアリティショックが発生するのでしょうか?
新入職員に発生しやすい具体例を見ていきましょう。
4-1. 組織の中で最も下の立場になる
新入職員は、組織の中では最も下の立場になります。
そのため、上司の指示に従うことが求められ、たくさんの注意を受けることもあるでしょう。
自らの意志で動きづらいことが、ストレスになってしまうのです。
4-2. 未知の世界でのチャレンジ
新入職員は、学生時代とは勝手の違う世界で、初めての業務を行います。
時間感覚、身だしなみ、ふさわしい態度など、たくさんの新しいルールや規則の中に、自分を合わせていくだけでも大変です。
さらにその中で、慣れない業務を覚えていくことは、どんな人にとってもストレスになり得ます。
4-3. 年齢層、価値観が異なる人々との協働
組織には色々な人がいて、その人々と協働することが求められます。
可愛がってくれる人がいれば、きつく当たる人もいます。
人によって指示に差があることもありますし、マニュアルと異なる指示を受けて、戸惑うこともあるでしょう。
4-4. 仕事のトラブルは日常茶飯事
慣れない仕事なので、大なり小なり、トラブルは日常的に発生します。
患者さんとの人間関係トラブルはもちろん、少しのヒヤリハットやクレームが、命に関わる事故にも発展しかねません。
5.『リアリティショック』から抜け出すには

『リアリティショック』に陥ってしまうことは誰にでもあり得ることであり、その状況から早く抜け出すことが、働く上では必要となります。
では、一体どのように『リアリティショック』から抜け出せばよいのでしょうか?
『リアリティショック』から抜け出すためには、いち早く学生気分を脱し、社会人としての立場を自覚した習慣をつけることが大切です。
そのためには、職場に限らず、今の生活そのものを見直してみるとよいでしょう。
いくつか見直しポイントをご紹介します。
5-1. 経済的に自立しているか?
経済的に自立するために、貯金することを意識しましょう。
実家暮らしであれば、家賃や食費を渡す、ということが大きな目安になります。
5-2. 時間を守っているか?
次に、ふだんから時間を守る習慣を身に着けましょう。
例えば、友人との待ち合わせ時間を守る、自分で決めた時間にゲームをやめる、というような心がけで、時間に対する考え方を身に着けることができます。
5-3. 健康管理をしているか?
また、健康管理も大切なポイントです。
夜ふかしは控える、健康的な食生活を心がける、運動を意識するなど、日ごろから自分をコントロールするようにしましょう。
5-4. 前倒し行動を取っているか?
予定の5分前までに行動する、といった前倒し行動を身に着けましょう。
習慣化にはトレーニングが必要ですが、一度習慣化してしまえば、メリットは大きいです。
細かなタスクを後回しにせず、すぐに実行することがポイントです。
5-5. 毎日学習しているか?
最後に、学習の習慣をつけましょう。
社会人では、学んだことを現場で実践することに意義があります。
医療の現場では、学んだことを次の日から患者さんに提供することができます。
毎日少しずつでも本を読む、10分間振り返りタイムを設ける、などの工夫で、習慣化していきましょう。
6.大切なのは「慣れる」こと

6-1. 『脱・リアリティショック』には3年かかると言われている
リアリティショックを解消し、仕事の楽しさを実感するまでの期間は、概ね3年が目安と言われています。
3年も経っていないが、「辞めたい…」という想いが強くなったら、苦しみから逃れたい一心で、安易に「ここではないどこか」を追い求めてしまっていないか、もう一度自問してみてください。
6-2. いち早く仕事に慣れるために
いち早く仕事に慣れるために、まずは、当事者意識を持って、目の前の仕事に打ち込んでみましょう。
組織の一員になりきり、主体的に取り組むことで、自ずと技術と裁量が上がり、仕事が楽しくなります。
また、仕事をしていれば、患者や上司から怒られたり、失敗したりすることは、誰にもあります。
そんな時は、改めて原点を振り返ってみましょう。
何のためにこれまでやってきたのか、将来どうなりたいのか、といった初心を思い出し、自らを勇気づけるのです。
そして最後に、職場には、応援してくれる同僚・先輩・上司が必ずいることを思い出してください。
ひとりで抱え込まずに、何でも相談できる「仲間」を見つけ、支援し合うことができるといいですね。
7.まとめ
今回は『リアリティショック』の実態と、その克服方法についてご紹介しました。
誰もが経験し得ることですので、克服法を実践しながら、いち早く『リアリティショック』を抜け出せるようにしましょう。
なお、「働くとは」コースには、他にも働くことの基本を学べる動画を複数ご用意しています。ぜひ視聴してみてくださいね。
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