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労務トラブル、表面化した時にはもう手遅れ!未然に防ぐために「知る」ことが大事

労務トラブル、表面化した時にはもう手遅れ!未然に防ぐために「知る」ことが大事

掲載日:2023年01月23日更新日:2023年07月14日

教材コラム

このブログ記事は「管理者のための労務実務」コースの「1.労務管理が必要な理由」の内容をコラムとしてお届けしております。
労働基準法に対応することだけが労務管理ではありません。
基本的な知識理解とともに、職場でどのようにそれらを活かすか、どのような考え方を持って労務管理に取り組むかをお伝えします。
新任管理職の方は是非「はじめての労務基礎知識」と合わせてご覧ください。

※本記事の最後でサンプル動画を視聴できます。

目次

1.労務管理の必要性が高まっている

2.労務管理に影響を及ぼす環境や経営・組織の変化

3.労務トラブルの発生状況

4.労務トラブルの多い職場とは

5.まとめ

1.労務管理の必要性が高まっている

皆さんは、労務管理というと、どのようなことを思い浮かべますか?
複雑な労務ルールを覚えなければいけない、所属職員にルールを徹底させなければいけない、など、様々あると思いますが、それらは労務トラブルを防ぐために実施されているものです。

昨今では、労務トラブルの件数増加や、その種類の多様化を示す調査も多数出てきており、業界や業種にかかわらず、労務管理の必要性が高まっています。

そこで、今回は、労務管理の発生状況やその背景、そしてその原因についてご紹介したいと思います。

2.労務管理に影響を及ぼす環境や経営・組織の変化

まずは、労務管理に影響を及ぼしている環境の変化や、経営・組織における変化について見ていきましょう。

2-1. 環境の変化

環境の変化としては、少子・高齢化の進行、労働力の趨勢的減少、価値観や働き方のニーズの多様化、グローバル化・競争の激化、労働基準監督署による指導の強化、法改正への対応、などが考えられます。

国内の状況変化や、世界全体の変化を受けて、労働に関わる所管部の動きや、法律にまで、変化が広まってきていることが想像できますね。

2-2. 経営・組織における変化

続いて、経営・組織における変化としては、経営のスピード化、グループ経営・連携の強化、女性・高齢者・外国人の活用、能力・就労ニーズに応じた人事労務管理の推進、内部統制の強化、個人情報保護の徹底、といった変化が見られます。

これらの変化によって、職場の人員構成の多様化が進み、労務管理やコミュニケーション、意思疎通が複雑化しているのです。
また、過度に短絡的な成果主義により、厳密すぎる役割や業務範囲の設定により、セクショナリズムが高まるなど、従業員同士の連携やチームワークに、支障が出るなどのことも起こっています。

さらに、業務範囲の拡大、職場の人員構成の多様化に伴う、マネジメントの複雑化などによる、ミドルマネージャーのプレイヤー化、マネジメント力やコミュニケーション力、部下指導力の不足などの影響が出てきています。

3.労務トラブルの発生状況

次に、労務トラブルの発生状況を、いくつかの調査データから確認していきましょう。

3-1. 監督の実施状況(2018年)

労働基準監督署による2018年の監督実施状況のデータでは、年間170,192件の監督が実施され、その約8割が定期監督、残りの2割は申告監督、再監督などでした。
そして驚くべきことに、定期監督の約7割に違反が発覚しています。

では、実際にどのような問題が起こっているのでしょうか?

3-2. 定期監督で発覚した主な違反内容

定期監督で発覚した違反内容としては、労働時間に関する指摘がもっとも多く、3割近く発生しています。
続いて、割増賃金に関する指摘が2割超発生しています。
労働条件の明示、賃金台帳、就業規則に関する指摘も、1割を超える指摘が発生しています。

3-3. 総合労働相談件数の推移

また、労働局に寄せられる総合労働相談件数は、年々上昇を続けており、平成22年度から令和元年度の12年は、連続で100万件を超えています。

相談内容は、いじめ、嫌がらせなど、いわゆるハラスメントに関するものが最多であり、こちらも令和元年度まで、10年連続で件数が増えています。

4.労務トラブルの多い職場とは

4-1. 労務トラブル表面化の原理

ここまで、労働トラブルの発生状況について見てきました。
年々増加を続けており、深刻な問題と言えるでしょう。
ただ、これらは氷山の一角に過ぎません。

労働局に相談する、つまり行動を起こす人の下には、それよりも大人数の、行動を起こさないまでも、不満を持っている予備軍がいます。
例え不満を持っていたとしても、実際に行動を起こすのは一部の人に過ぎないため、行動を起こした時、問題が表面化してしまった時には、すでに手遅れ、ということがあります。

そのため、自組織には労働局に相談する職員はいないから安心だ、と考えるのは危険です。
問題が表面化する前に手を打つ必要があります。

4-2. 労務トラブルの多い職場にありがちな問題

では、問題が表面化しやすい、または、職員が不満を抱えやすい職場とは、どのような職場でしょうか?
いくつか例をご紹介します。

上司・部下間の信頼関係がない、労務管理を自らの役割だと役職者が認識していない、部下に興味・関心を持たない役職者が多い、給与の決定基準が不透明である、人事考課のフィードバック面談をしていない、理念を共有していない、従業員の不満を把握する仕組みがない、チームワークが良くない、従業員が長続きしない、顧客からのクレームがない、などが挙げられます。

皆さんの職場で当てはまるものはありますか?
もしも当てはまるものが多い場合は、顕在化していない問題が潜んでいる可能性が高いと考える必要があります。

4-3. 労務トラブルの表面化を抑えていた要素が薄れている

こうした労務トラブル発生には、冒頭にご説明したような、環境の変化などが影響しています。
それにより、これまで労務トラブルの表面化を防いでいた、暗黙の了解、人と人との信頼関係、などが薄れてきているのです。
また、これまではその情報を職員が知らないとういこともありましたが、インターネットの普及により、誰でも情報を手に入れることができるようになりました。

こうした状況の変化に伴って、労務管理の必要性が高まってきているのです。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか?
労務トラブルの要因について、理解を深めることができましたね。
これは、労務管理知識を習得することと同じくらい重要なことです。
労務管理に臨む際には、ぜひこれらを念頭に置いた対策を実施してみてください。

なお、「管理者のための労務実務」コースでは、他にも、労務ルールの原則、労働時間、休日・休暇、ハラスメントなどのテーマについて学ぶことができますので、ぜひ視聴してみてくださいね。

▼サンプル動画はこちら▼