目次
1.チームで成果を出すために必要な3要素
仕事をする上で、どんなに優秀な人でも、一人でできることは限られています。
一方で、同じ職場の人々の力が合わさり、チームとして力を発揮できたとき、その成果は、一人一人で達成できるものよりも、さらに大きなものとなるでしょう。
なぜならば、私たちにはそれぞれ強み・弱みがあるので、チームとして協働することで、お互いの強みを活かすこと、弱みを補い助け合うことができるからです。
また、それぞれ異なる価値観や考え方を持った人同士が意見を交わすことで、新たな視点や気づきを得ることもできます。
そうして、組織として学習していくことで、より大きな成果へと繋がっていくのです。
このように、チームとして協働し、学習し、より大きな成果を生み出していくには、3つの力が重要とされています。
「志を育成する力」、「複雑性を理解する力」、そして「共創的に対話する力」です。
今回はその中の1つ、「共創的に対話する力」について、詳しくご紹介します。
2.「共創的に対話する力」は何故必要なのか
2-1. 共創的な対話が必要になる場面
共創的に対話する力を育むことで、チームの対話を通して、自分たちのこれまでにない新たな発想や思想を生み出すことが可能となります。
先ほど、学習し成果を生み出すチームを作るためには、志を育成する力と、複雑性を理解する力も必要だとご説明しました。
それぞれが志を持つことや、お互いの違い、組織の複雑性に対する理解は、なくてはならないものです。
それを実現するために、「共創的な対話」を通して、メンバーの異なる認識を整理することは、重要な役割を果たします。
例えば、志、つまり、ありたい姿や、共通の方向性を整理していく上では、各自がどのような状態を創り出したいのかを、インタビューを通して整理していくとよいでしょう。
また、複雑性を理解するためには、現状に対する問題意識や、気がかりの認識合わせをする際に対話を通した整理が役立つはずです。
2-2. 物事の捉え方・認識は、人によって異なる
物事の捉え方や認識は、人によって異なります。
同じ物事を見ていても、それをどう捉えるかは、人によって解釈が異なり、まったく同じということはほぼあり得ないと言えるでしょう。
例えば、コップの半分まで水が入っているのを見て、「また半分もある」と喜んで飲む人もいれば、「もう半分しかない」と落ち込んで、飲むのを控える人もいるでしょう。
つまり、コップに水がどれだけ残っているかに関わらず、その解釈や認識がお互いにズレていれば、意識や行動にもズレが生じてくるのです。
2-3. 物事の捉え方・認識の違いを、対話によって解消することができる
特に、組織として同じ方向に向かって動いていくには、ありたい姿と、現状の理解について、認識の擦り合わせをする必要があります。
その認識の擦り合わせをするための、有効的な手段が、対話というプロセスなのです。
対話を重ねることが、事象に対して、共通の理解が生まれるようお互いの解釈を共有し、受け取り合い、共通認識を生み出すことに繋がるでしょう。
逆に、対話がなければ、私たちは認識を擦り合わせる術を失ってしまい、共通認識を得られなくなってしまいます。
共通認識がない状態では、コンフリクト(衝突)が生まれやすくなります。
コンフリクトそのものは、決して悪いものではありませんが、それが悪い方向に行ってしまうと、やがて対立感情にまで向かってしまうかも知れません。
組織で働く上では、解釈の違いから、コンフリクトは生まれるものですが、これが悪い方向に行かないように、そして、同じ方法を向いて、同じ志を持って、未来を共に紡いでいくために、対話はとても意義あるものだと理解してください。
3.対話が重要視される背景
ここまでご説明してきたように、組織内では時に解釈や認識の違いが生じ、それを解消するために、対話が有効に機能します。
近年では、対話の効果や実現することの意義が、益々重要視されています。
ここからは、対話が重要視される様々な背景について確認していきましょう。
3-1. ひとつの組織に、様々な価値観を持つ人が存在している
働き方の柔軟度が上がったことや国際化などによって、組織には、以前よりも実に様々な価値観を持つ人が在籍し、協働する必要が出てきています。
時には理解しがたいほど異なる価値観を持つ人とも共通認識を持つために、対話による意思疎通は必須と言えるでしょう。
3-2. ひとつの組織に、幅広い世代が存在している
こちらも同じく、働き方の幅や柔軟度が増したことで、組織内には幅広い世代が存在するようになりました。
皆さんも、世代間の認識相違、いわゆるジェネレーションギャップを感じたことがあるのではないでしょうか?
この時、相手の価値観を否定していては、コンフリクトや対立感情を生んでしまうだけです。
対話による歩み寄りができるといいですね。
3-3. テクノロジーの発展に伴い、対面での意思疎通が減少している
例えば、自宅に仕事用のパソコンを持ち帰り、リモートで会議をすることが増えた、直接の会話よりもメールで済ませることが増えた、という人も多いのではないかと思います。
コロナ禍の影響もあり、仕事のリモート化は一気に加速しました。
しかし、対面と比べると、リモートなどでのコミュニケーションでは、やはり十分に意思疎通ができない部分もあります。
だからこそ、丁寧に対話を行い、意思疎通に努める必要があるでしょう。
3-4. 働き方改革によって、労働時間の短縮化が進んでいる
働きすぎが問題視され、近年では働き方改革が進んでいます。
労働時間の短縮が求められ、ワークライフバランスが改善された側面もあるでしょう。
しかし一方で、その分減ってしまったコミュニケーションの機会もあるはずです。
こうした状況下では、お互いの認識合わせをする対話の場が、さらに重要になってきます。
3-5. 個人情報やプライバシーに関する規制強化で、個人への介入が難しくなっている
個人情報やプライバシーに関する意識の高まりや規制強化で、職場において個人的な話をする機会は減っているのではないでしょうか?
ある程度は個人的な話もすることが、お互いを理解することに役立っていましたが、今はそれが難しくなってきています。
このように、変化した状況の中でも、お互いの理解を深め、共通認識を持てるような対話の工夫が求められています。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は「共創的な対話」の重要性とポイントについてご紹介しました。
実践できるところから、普段の仕事の中で対話を通したお互いの認識の整理を、意識してみてくださいね。
なお、「成果を出すチームづくり」コースでは、他にも、目標の伝え方、目的の伝え方、認識の違いがもたらす対立構造などを内容を学ぶことができますので、ぜひ視聴してみてくださいね。
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