仕事を進めるうえでは、職場にいる上司や同僚とのコミュニケーションが欠かせませんよね。
会話においては、自分が話したいことをいかに正確に伝えるか、相手に理解してもらうか、に気をつける人は多いと思いますが、コミュニケーションにおいて大切なことは、話すことだけではありません。
話すことと同様に、「聞く」ことも、相手と意思疎通を図るには、とても重要なことなのです。
この記事では、上司や同僚とのコミュニケーションについて、コミュニケーションをとる上で大切なポイントをお伝えするとともに、上司や同僚とうまくコミュニケーションをとる方法について、詳しく解説します。
目次
1.上司や同僚とコミュニケーションがうまく取れない原因
皆さんは、相手との意思疎通がうまくいかないのは、何が原因だと思いますか?
会話するときに、自分が話したいことをいかに正確に伝えるか、相手に理解してもらうかという発信の部分に気をつける人は多いと思います。
しかし、実はここにうまくいかない原因が隠れています。
職場に限らず、コミュニケーションにおいて大切なことは、話すことだけではありません。
よく、コミュニケーションをキャッチボールに例えますが、「話す=発信する」ことと同様に、「きく=受け止める」ことも、相手と意思疎通を図るには、とても重要です。
お互いに、自分が話したいことを一方的に話しているだけでは、会話は成立しませんよね。
自分の伝えたいことを相手に受け取ってもらい、相手の伝えたいことをしっかりと「きく」ことが、コミュニケーションにおいては重要なのです。
きくことが重要だとしても、ただ相手の話をきいていればよいだけなら単純なことだ、と感じるかも知れません。
しかし後から振り返ってみると、案外「きいているつもり」になっていただけということも多いものです。 実はコミュニケーションにおける大切なスキルの1つに、「きく」ことがあります。
2.上司や同僚とのコミュニケーションをとる上で大切なこと
ここからは、コミュニケーションの大切さや改善ポイントについて、「きく」ことに焦点を当て解説していきます。
2-1. 「聞く」と「聴く」
「きく」を漢字で表記すると、「聞く」とも「聴く」とも書けますね。
「きく」ことをコミュニケーションで役立てていただくために、まずは2つの漢字の意味の違いを考えてみたいと思います。
「聞く」と言う字は、日常でもよく使う字です。
この「聞く」には、意味を理解する、話の内容や質に注目する、という意味があり、正確性を重視しています。
つまり話を「聞く」時には、話されている「事実」、具体的に「いつ」「どこで」「誰が」「誰に」「何を」といった内容を、正確に聞き取ることが大切です。
一方で「聴く」という字は、ふだんはあまり使わない人が多いのではないでしょうか。
この「聴く」の中には、「目」と「心」という字が隠れています。
五感を使って感じる、ありのまま受容する、という意味があり、相手の見ているものが重要です。
話されている「事実」よりも、その奥底にある相手の本心、真意、意志のようなものまで受け取ろうとする姿勢とも言えるでしょう。 言葉だけでなく、表情や目線、声色など、五感を使って相手のメッセージを受け止めようとすることが大切になります。
2-2. 「聞く」と「聴く」の受け取り方の例
では、実際の会話において、「聞く」と「聴く」には、どのような差が生まれるのでしょうか?
「最近、夜に眠れない」という患者さんとの会話を例にして、確認してみましょう。
これを「聞く」、つまり、事実として受け止める場合は、「眠れないのはいつからですか?」、「お薬を使いますか?」などの質問を返すことができますね。
一方で、「聴く」という姿勢では、夜眠れないと言っている方々の、心の動きや辛さ、背景などを踏まえて、「眠れないのですね。それはお辛いですね」などの言葉をかけることができます。
言葉を文字通りに受け取るのではなく、その奥底にある意味や思いまでもしっかりと捉えるのが、「聞く」姿勢との違いだとわかりますね。
ポイントを押さえて「きく」ことで、皆さんのコミュニケーション能力は、より一層向上するでしょう。 自分の伝えたいことを相手に受け取ってもらい、相手の伝えたいことをしっかりと「きく」ことが、コミュニケーションにおいては重要なのです。
3.上司や同僚とうまくコミュニケーションをとる方法
2種類の「きき方」を理解していただいたところで、コミュニケーションの場で実際に活かすために、相手の話を「きく」際のポイントをご紹介します。
1つ目は、きいていることを相手に示すこと、2つ目は、言葉だけでなく「意図」を汲み取ることです。
では、詳しく見ていきましょう。
3-1. きいていることを相手に示すことが大切
ポイントの1つ目に、きいていることを相手に示すことが挙げられます。
コミュニケーションは、話していることが相手に伝わって、それを相手が理解し、そしてまた返すという、いわばキャッチボールのようなものです。
そのため、「きく」ということは、第一に、あなたが発信した内容をきちっと受け取っていますよ、ということを相手に示すことから始まります。
きいていることが相手に伝わらなければ、相手は話すことを止めてしまうかもしれません。
では、具体的にどのような態度や行動を取れば、きいていることを相手に示すことができるのでしょうか?
いくつか例を紹介します。
まず、一番よい方法は、相槌を打つこと、うなずくことです。
簡単にできますし、相手もあなたの反応を感じ取りやすいでしょう。
相槌を打てば、「ここまでは話をきいてくれているな」と、相手は理解することができますね。
さらに、内容を正確に聞き取っていると相手に理解してもらうには、復唱する、メモを取る、といった行動が有効です。
いずれの方法も、相手に「ちゃんと伝わっているのか?」という心配をさせないことがポイントです。 話をきいてくれている、という安心感があれば、相手は話を続けてくれるでしょう。
3-2.言葉だけでなく「意図」を汲み取る
2つ目のポイントとして、相手の発信した言葉そのものだけでなく、その裏側にある「意図」を汲み取ることが重要になります。
アドバイスや指導に対して、あなたは「いちいち細かいな。もう知っているよ」などと感じたことはないでしょうか?
そのような時は、相手が何故その言葉を言っているのか、という意図を汲み取るように意識してみてください。
そうすることで、同じ言葉をきいているのであっても、「言いづらいことを言ってくれてありがたい」と、感じられるかもしれません。
4.上司や同僚とのコミュニケーションの改善ポイント
ここまでの内容で、「きく」ことの重要さを感じていただけたのではないでしょうか。
続いて、部下の立場でコミュニケーションを改善するときのポイントを2点ご説明します。
4-1.正確にもれなく聞き取る
仕事においては、特に、上司や先輩の業務指示を正確に聞き取れなければ、仕事のミス、患者さんや職場への迷惑に繋がりかねません。
正確にもれなく聞き取るのが、1つ目のポイントです。
業務指示については、次の3点を必ず正確に聞き取るようにしましょう。
「業務指示の内容」
「指示目的と方法」
「まずどう動くか」
そのためには、メモを取って残す、指示内容を復唱する、不明点を質問する、といった行動を徹底することが大切です。
4-2.わからないことを隠さない
2つ目のポイントは「わからないことを隠さない」ことです。
きくことにおいて一番大切なことと言っても過言ではありません。
もっとも良くないことは、わからないのにわかったフリをすることです。
「初めてでわかりません」
「もう少し詳しくお願いできますか?」
「具体的にはどういうことですか?」
これらのように、きいた内容がわからない時には、素直に質問をして話を理解することが大切です。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、「きく」ことに焦点をあて解説しましたが、コミュニケーションは「思考や感情」のキャッチボールです。
この「思考や感情」は、言葉だけで表されるものではありません。
表情、身振り、呼吸、立ち方や座り方、歩き方といった姿勢、服装、態度、声の調子など、あらゆる表現方法で発信されています。
これらを使いこなして発信し、うまく受け止めることがよりよいコミュニケーションに繋がり、意思疎通がうまくいくようになります。
今回ご紹介した内容を参考に、この機会に自身の「きき方」に注目し、表情・態度・返事を振り返ってみていただければと思います。
なお、「職場のコミュニケーション(部下編)」コースでは、他にも、「話す」技術や、職員同士のコミュニケーション、上司が助かるコミュニケーションなどについて学ぶことができますので、ぜひ視聴してみてくださいね。
▼サンプル動画はこちら▼