目次
1.人事評価を成功させるには、まず評価者の心構えから
職場において、誰もが始めは、新入社員や新人として仕事をスタートさせます。
やがてキャリアを進めていく中で、部下を持ったり、管理職に就いたりと、人事評価の評価者になる人もいるでしょう。
人事評価は、どのように進めればよいのか、何をすればよいのかと、悩む方も多いのではないでしょうか?
今回は、人事評価の具体的な進め方の前に、まず、人事評価者としての心構えについてご紹介します。
人事評価者としての心構えを持って人事評価に臨むのと、そうではないのとでは、大きな差が生まれると思って、確認していただければと思います。
2.人事評価者としての6つの心構え
まずは、人事評価者として意識しておくべき、6つの心構えを見ていきましょう。
1つ目、人事制度・人事評価制度について理解を深める。
人事評価者として、その制度を正しく理解しておくのは当然と言えますね。
2つ目、「部下を育てる」と考える。
人事評価は、部下のこれまでの仕事を評価して終わりではありません。
評価を通じて部下を育てることで、将来的に会社に貢献したり、部下自身のキャリアなどに役立てたりしてほしいですよね。
3つ目、部下に信頼される行動を取る。
この後にご説明しますが、人事評価結果を伝える際、同じ内容を伝えるのであっても、信頼されていない上司の言葉に、部下は納得しづらいものです。
部下の納得感を高めるためにも、部下に信頼されることは重要です。
4つ目、部下とのコミュニケーション密度を高める。
人事評価のタイミングだけでなく、日ごろから部下とコミュニケーションを取ることを意識してみてください。
これは、部下との信頼関係の構築にも繋がりますね。
5つ目、自分自身の人事評価結果を高める努力をする。
評価者自身も、評価される立場です。
まずは自身の行動を持って部下に示せるように意識しましょう。
6つ目、「何故できないのか」ではなく、「できるようになるためには」と考える。
そうすることで、部下の成長を促すことができますね。
3.人事評価の目的は、部下の成長と考える
ここで、人事評価の目的について考えてみましょう。
人事評価は、「人事考課」と考えることもできます。
「人事」は「部下」、「考」は「考える」、「課」は「課題」と置き換えてみると分かりやすいですね。
人事考課とは、「部下の課題を考える」ことです。
そしてその課題解決を支援することで、部下の成長を後押しすることができます。
もちろん、部下の課題や短所だけでなく、部下の得意なこと、長所も含めて、今よりもさらに成果を出すためには、どうすればいいか、という観点で、部下の成長を見守っていくのがよいでしょう。
4.部下との信頼関係を構築する
4-1. 部下との信頼関係が、人事評価の効果にも影響する
人事評価者の心構えとして、部下との信頼関係構築が重要とお伝えしました。
よくある人事評価の不満として「あんな人に評価されたくない」という声を聞くこともあります。
一方で、たとえ悪い評価だったとしても、部下は「あの人に評価されるのなら納得だ」と感じることもあるのです。
説明の仕方が影響している可能性ももちろんありますが、両者の違いは、やはり部下との信頼関係の差が大きいと言えるのではないでしょうか。
人事評価の内容について、部下に納得してもらうためにも、部下から信頼されることはとても重要です。
4-2. 上司に対する信頼は、「職務的信頼」と「情緒的信頼」の2種類
上司に対する信頼には大きく分けて、「職務的信頼」と「情緒的信頼」の2種類があると言えます。
「職務的信頼」を得るには、知識・技術・専門性が高い、仕事のスピード・質が高い、問題解決能力がある、難度の高い業務に対応できる、院内研修の講師をしている、といった点がポイントになります。
病院職というのは、高度で専門的な技術が求められる職業でもあるので、この職務的信頼を得ることは、とても重要と言えるでしょう。
一方で、「情緒的な信頼」を得るには、誠実である、真摯な業務姿勢、部下に真剣に向き合う、秘密を明かしても大丈夫である、絆を感じられる、と言った点がポイントになります。
技術などがあり職務的には信頼できる人であっても、それだけでは十分ではなく、人として信頼できるかどうかも、部下の信頼を得る上ではとても大切なのです。
4-3. 部下が抱く上司への不満
ここで、部下が抱く上司への不満をいくつか紹介します。
態度が不公平である、きちんと話を聞かない、態度が悪い(挨拶をしない、高圧的、ルール無視等)、無責任である(責任を取らない、部下に責任転嫁する、部下を助けない等)、物事を決めない(方向性を示さない、指示や判断が曖昧等)、と言った不満が多いようです。
ご自身に当てはまっていないか確認し、不満を抱かれる要素がありそうならば、改善していきましょう。
この時、「自分はこうしている」ではなく、「周りは自分をどう見ているだろうか?」という、客観的な視点を意識してみてください。
4-4. 信頼のリーダーシップ
次に、部下に信頼されるリーダーシップについても、いくつかご紹介します。
一般的に、正直である、前向きである、ワクワクさせてくれる、有能、といった点が重要とされています。
これに当てはまらない態度、例えば、噓をつく、いつも後ろ向きである、などの態度を改めていくことから、信頼されるリーダーシップの獲得に向けてアプローチしていくのもよいでしょう。
5.人事評価の対する部下の思い
5-1. 低い評価には簡単に納得できない
人事評価の際に、部下は色々なことを考えています。
「能力があることを分かってほしい」、「自分は他の人のように上手に振る舞えない」、「自分が陰ながら努力していることを分かってほしい」、「評価についての説明がほしい」など、実に様々です。
これらの感情の背景にあるのは、つまるところ、自分は上司に理解されていないのではないか、という不安です。
それは、低い評価をつけた時、特に顕著に現れてきます。
部下は低い評価には、なかなか簡単に納得できないのです。
5-2. 人事評価の納得性を高めるカギ
では、部下に人事評価について納得してもらうには、どのようにしたらよいでしょうか?
その為には、日常的にコミュニケーションを取って、部下の考えや思いを、きちんと理解していると、上司が日頃から示していくことが重要です。
人事評価の場だけの説明ではなく、日常的に上司からのメッセージを発信し続けていくように意識してみてください。
5-3. 2つの思考で問いかける
問題を考える時には、「なぜそのようなことになったのか」という原因を分析する「WHY思考」と、「どうすれば解決できるか」という、問題解決方法を考える「HOW思考」の2つの思考を持っておくとよいでしょう。
人事評価においても、部下の振り返りに対して、出来なかった理由を聞くだけでは次につながりませんので、次はどのようにしたら解決できるか、を考えさせる質問をしましょう。
そうすることで、部下の課題解決や成長を後押しすることができるでしょう。
6.まとめ
ここまでご紹介してきたように、人事評価においては、まず評価者としての心構えを身に着けることが重要であると分かりますね。
人事評価のタイミングだけでなく、日常的に意識し実践することで、部下との信頼関係を築き、部下を成長に導く人事評価に繋げていきましょう。
なお、「基礎からわかる人事評価」コースでは、他にも、人事評価のルール、人事評価の進め方、人事評価でありがちなエラー等について学ぶことができますので、ぜひ視聴してみてくださいね。